第11回「見つめて、想像してみる」

2021.03.11

皆さま、変わらず元気にお過ごしでしょうか。
こちらでは厳しい寒さが次第にゆるやかなものになり、
帰路につく夜に外を歩いていてもなんだか春を感じるような、
体を包みこむような温かな風を感じる日も増えてきました。

 

そうして1年が巡って桜が咲くまであともう少し。
そんな中、今回の『映えない話』に登場するものはこちらです。

桜印のガラス瓶。以前とある市場で出会ったものです。
ガラスの風合いや模様、レトロな佇まいと
ねじ式の蓋にも面白いと心惹かれ、一目惚れで連れ帰ったものです。
当時は“醬油瓶”として使用されていたと伺っており、
食卓に並ぶ姿も容易に想像ができるように思います。

 

そんな綺麗なガラス瓶。
手に取ってじっと観察してみると
蓋と本体のガラスの色が違うことがわかります。
お日様にかざして見てみるとほら…

蓋はライトブルー、本体はグリーンのガラスが
使われていることがわかります。
これについて真意はわからず、真実は闇の中…
この“もの”のみぞ知る、なのですが
この点から思わず様々なストーリーを想像してしまいます。

 

「こっちの組み合わせの方が綺麗だよ」「素敵じゃない?」なんて
過去の持ち主さまが好んで付け替えて使っていたのかな、とか

どこかの場面で偶然付け代わっていて。
気づかれることもなくそのままになってしまったのかな、とか

人の手から手にわたる中で壊れてしまって。
それでも大切にしたい、使い続けたいという人の思いから
別のものが充てられたのかな、とか。

 

蓋と本体のガラスの色が違う…こういった点からも
なんだかその”もの“が歩んできた月日とストーリーを感じられるようで
興味深く、面白くも思ってしまうのです。

次はどんな発見ができるかな、どんな“もの”と出会えるかな。
柔らかな、温かな日差しを受けて今からわくわくしてしまいます。
なんていったってこれからの季節は春、「出会いの春」ですので。
また面白いご縁があるといいな、興味深い“もの”と巡り会うことが
できるといいな。そう思いながら過ごす今日この頃でした。

 

ということで今回はここまで。
「映えない話」お付き合いいただきありがとうございました。

 

miu
「ネジ蓋付のガラス瓶」

 

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